2017年、武田薬品工業株式会社とSchrödinger社は、Schrödinger社の物理学に基づく計算化学プラットフォームと、武田薬品の創薬における革新的な深い専門知識と経験を結集し、新規で競合性のある治療薬の発見を加速させるため、共同研究契約を締結しました。
2年後、この契約は複数年、複数標的ターゲットに関する共同研究へと拡大し、最近、一連の主要なマイルストーンを達成することができました。
このパートナーシップと、解決しようとしている課題についての詳細は以下
をお読みください。
Larry Hamann, Ph.D. ドラッグディスカバリーサイエンス グローバルヘッド、武田薬品工業株式会社
望ましい化学的特性を構築し、薬理学的特性を維持つつ、化合物を最適化することは、針に糸を通すようなものであり、大変骨の折れる仕事です。
Schrödinger社との共同研究は、私たちに変化をもたらしてくれています。
当社は現在、神経変性および免疫腫瘍学の領域において重要なプログラムにSchrödinger社の物理学に基づくツールを活用しています。このツールを用いた、反復最適化サイクルを通じて、複雑な標的に対するベスト・イン・クラスの分子を迅速に達成することに取り組んできました。
これは実りある共同研究でした。例えば、厳しいスケジュールの中で標的に対する選択性を達成するのが、創薬における今日の最大の課題となっています。Schrödinger社の機械学習および構造に基づく設計ツールは、高度な物理学に基づく手法と併用することで、望ましい選択性を達成し、対象とする適応症で最適化化合物を得る方法についてのインサイトを提供してくれるのに役立っています。これらのツールは、創薬プロセスを加速させ、我々の興味ある疾患領域に対する新規分子を設計するための新たな手段を開いてくれると思います。
この共同研究自体が素晴らしいものでした。両社の参加者お互いを順調に受け入れています。私たちは、両社が一体となったチームとして業務を行うことで恩恵を受けています。プロジェクトの進展を見るにつけ、Schrodinger社の協力的な姿勢に非常に満足しています。
当社は、患者さんにとっての有効性と忍容性の観点から、実現したい治療薬に対して高い基準を設定しています。得られた化合物を臨床治験に導入する高い意欲をもって、あらゆる面で努力し、製品が市場達成する時にベスト・イン・クラスの分子となることを非常に期待しています。これらの分子がそれぞれの適応症で治療に革新的な変革をもたらすであろうことを嬉しく感じています。
Wayne Tang, Ph.D. – 創薬担当エグゼクティブディレクター、Schrödinger社
武田薬品工業株式会社との共同研究において、これまでのところ、指定された期限内に各プロジェクトにおいてすべてのマイルストーンを達成したことを誇りに思います。私たちの最新プロジェクトは、非常に協力的な取り組みです。当社がこのプロジェクトを主導し、モデリングの取り組みをリードし、武田薬品が化合物設計のアイデアと、治療領域における専門知識を提供しています。私たちの強固な協力関係があったおかげで、プログラムの目標に変更があった場合も、私たちは迅速に適応でき、実現可能な水準を高めてきました。
共同研究の開始にあたり、私たちは当社の技術について、プロジェクトの推進における価値を示すだけでなく、プラットフォームを最適に活用し、当社のFEP+モデルによる予測を理解する方法について、武田薬品の科学者にトレーニングの提供も行いました。
当社の技術により、従来の方法から新しい創薬への移行が可能となり、このことは、武田薬品工業株式会社のプロジェクトのスピードを加速させる上で大きな付加価値となっています。当社は、当社の技術を用いて、効力、選択性、その他の分子特性を予測することで、設計に優先順位を付けています。これにより、より強力な化合物をより迅速に特定できるようになります。プロジェクトがいかに早く進展しているか、信じがたいほどです。
また、この共同研究は、予測モデリングにおける当社の指導的役割をさらに拡大させる一助となり、Schrödingerにとっても価値のあるものとなりました。また、当社のソフトウェアプラットフォームに有益なモデリングツールを追加して開発する新たな機会の特定としても役立っています。これらのアップグレードはオンライン上で提供しているため、当社のすべてのソフトウェア・カスタマーをサポートし、さらに当社の社内創薬プログラムにも役立っています。
つまり、Schrödingerは、武田薬品というパートナーの新しい治療薬を発見すると同時に、この創薬プロジェクト特有のパラメータをはるかに超えるベネフィットを享受しています。そうしたことに立ち会えたことに、胸が躍ります。